われわれの暮らす鳥羽市・志摩市には、木曽三川から流れ出る淡水と伊勢湾口の海水が融合することから、全国でも有数の漁場が形成されており、両市には全国最多となる500人を超える「海女」が潜業しています。
海女の歴史は古く、縄文時代や弥生時代の貝塚からは、大きなアワビ貝や、それを採るために使ったと思われる鹿の角を加工した道具が発見されていることから、男女の別はわからないにしても、古代から受け継がれている漁法であることがわかっています。
また、海女たちが漁の前後に火にあたり、身体を温めながら談笑する海女小屋において、本物の海女が観光客をおもてなしする「海女小屋体験」の取り組みを行っており、近年都市部や外国からの観光客にも人気を博しております。
このような海女漁のスタイルや海女に関連する資源を貴重な地域資源と位置付け、海女漁業の振興、海女文化の振興及び海女文化による観光振興を図ることを目的として、平成24年6月に三重県、鳥羽市、志摩市、漁業協同組合をはじめとする各種関係団体とともに「海女振興協議会」を設立しました。
協議会では、「海女漁業の振興に関すること」、「海女文化の振興及び保存・継承に関すること」、「海女文化のユネスコ無形文化遺産登録促進に関すること」、「海女文化による観光振興に関すること」を事業内容として、「海女サミット」(2009年の第1回をはじめ2022年まで合計12回開催)の開催をはじめとした様々な取組みを進めています。
F&Q
今日ではアマといえば女性の海女だと思われていますし、たしかに鳥羽・志摩地方では海女が圧倒的に多いようです。
では、アマはどうして「女」か?
3つの代表的な説があります。
1. 女性は男性と比べて、皮下脂肪が多く、寒さに長く耐えられるという説。
2. 漁業が発達するにしたがって、男は次第に大量な漁獲を求めて、沖の漁場へ出て行くようになり、磯でする潜水漁業は自然に女の海女になったという説。
3. 朝廷や神宮へ神饌としてアワビを奉る神聖な役割は、とくに女性が果たしていたという説。
あなたはどれだと思いますか?
女性が漁業に従事するのは、日本では珍しいことです。
アマの漁法や習慣には、伝統的な海の民の生活を想わせるものも少なくありません。
海女は息が続くかぎり一息に潜ります。
海の中に潜っている時間は人によりますが大体50秒前後です。
海女の獲物の中心はアワビとサザエ、他にウニ、ナマコや稀にイセエビ、ヒジキ、ワカメ、アラメ、テングサといった海藻類があります。
志摩半島の海女たちは、魚を獲ることはまずありません。